日常。

読書、漫画、ラジオ、音楽(邦楽)、旅、本屋、家電量販店、録画を観ながら家事が主に好きなこと。 各種の感想と日頃思ったことの備忘録。

2018.12.23『熱帯』森見登美彦

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 2018.12.23『熱帯』森見登美彦

 

あらすじ:

~汝に関わりなきことを語るなかれ しからずんば汝は好まざることを聞くことならん~

何らかの謎を抱えた本を持ち寄って語り合う「沈黙読書会」。そこで話に挙がった幻の本、『熱帯』を巡る物語。『熱帯』を最後まで読んだ人間はいない、という謎に魅了され、人々は集まり、語らい、また新たな謎を呼んで物語は進んでいく。果たして『熱帯』とは何なのか…。

 

 

森見登美彦さんの15周年記念として刊行された新作著書。

物語を読み進めていくうちに、自分がどこにいるのか、何が現実で、何が空想か、頭の中がぐるぐると回ってそのまま深く深く潜っていく感覚に陥る、不思議なストーリーでした。

著書のタイトルも『熱帯』ということもあり、物語の人々と同じように自分も幻の本『熱帯』の謎にいつの間にか迷い込んでしまった…そんな感覚に陥ります。

 

物語のキーワードとして「千一夜物語」がたびたび取り上げられますが、この本の構造も「千一夜物語」と同じく枠物語(入れ子構造)になってどんどんストーリーが変わっていくのも特徴です。物語の冒頭はエッセイ調ではじまったと思ったら、いつの間にかミステリーに、ともすればいつの間にかファンタジーに、そして最後はまた日常(と思える)の世界に戻る。物語の主人公も入れ替わってストーリーが進んでいき、それが先述の、物語に迷い込むという感覚をより一層生みます。

 

正直、途中ちょっとこんがらがって読み進めるのに体力を要しましたが、読んでいる間の没入感、そして読み終えたときに現実に戻ったように感じる不思議な感覚は、正にこの小説の面白さかと思います。

 

あと表紙も素敵。物語の混沌さを感じさせない、ちょっと哀愁漂いつつも可愛らしいデザイン。熱帯のフォントも可愛い。

是非お時間あるときに、ぜひこの「熱帯」の世界に潜り込んでみてください。

 

 

 

…初回からだいぶ時間が空いて更新となってしまいました。。。

定期的に更新できるブロガーの人たちってすごいんだなぁと感じます。

マイペースながらも、もうちょい更新頻度は上げていきたい次第です。

ではでは。